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「はやぶさ2」実現に向けて ─ 攻略目標:財務省
納税者には、税金の使い道について意見を言う権利があるはずだ。

松浦晋也のL/D』「財務省のご意見箱に投稿する」より──というよりは10/20のロケットまつり(※1)スペシャル「はやぶさは飛翔した」より。
昨年、宇宙探査機「はやぶさ」が「小惑星へのタッチアンドゴー」を果たしたことはご記憶にある所かと思います。
彼(※2)が到着したのはS型小惑星でしたが、ISAS(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部) は2010年打ち上げを目標にC型小惑星からのサンプルリターンを目指しています。
名は「はやぶさ2」。基本設計は「はやぶさ」と同じで、「はやぶさ」で問題を起こしてしまった部分のみ変える予定。

が、2010年打ち上げ予定となると2007年度で予算をゲットしないと難しいそうです。
「ミッションのお金を握ってるのってどこなんでしょうね」
「結局は財務省でしょうね」
「文科省じゃないんだ(笑)……さあ皆さん、財務省にメールを送りましょう!」
(会場、大爆笑)
というやりとりがロケットまつりの席にてありまして──宇宙探査燃えの納税者には「税金を宇宙探査に使ってくれ」と言う権利があるはずだと、ロケット野郎たちが立ち上がった!
→ 財務省「ご意見箱」
言い出しっぺの松浦氏がご自身の送った文面を上げておいでです(本エントリ2番目のリンク先参照)し、立ち上がった野郎ども(注:愛を込めて)もぞくぞくと例文を掲載されているのがありがたい。
私も週末に文面を考えてみます。

だって「仮にですが、日本がC型を探査するなら欧州はP型とか、そういう連携もとってみたい」なんて聞いたらそりゃもう純粋に見たいです。ハレー艦隊の時は小さすぎて何も知らなかったから。
パイオニアやボイジャーが抱くものは夢があるけれど、現実味は少し薄いから。(恒星間航行速度でカッ飛んでくる探査機を破壊せずにキャッチできる知的生命体なんてどれだけいるんだ、地球人にだってできないぞ)
学問的寄与は到底できない、でもこういう形ででも宇宙探査に寄与できるなら。

しかしだな、文学研究にも金を下さい財務省(号泣)。

[ 2006.10.29追記 ] 財務省にメールしました、勿論本名です。首相官邸に送ったのも含め、送った文章は本エントリ末尾に記載しました。



※1:ロケット燃えなSF作家・ジャーナリスト達のトークライブとして始まり、最近は ロケット工学/宇宙工学の専門家がナマ出演。ノリはおもしろおかしいしこっちはお酒を飲みながらだというのに中身は学会発表同等なこと「も」ある恐ろしいイベント。
ちなみに 10/20 の回の内容の半分(イオンエンジンチームの國中均先生担当分)は 11/29(水)のプラズマ・核融合学会の特別講演と同じ(→学会講演予稿PDF)だった模様。
おかしいな、あんなに面白かったロケットまつりでのトークと図も内容も同じなのに公演予稿だとどうしてこうも頭痛の予感がするんだろう。
そして「"Hayabusa" means "falcon"」ってのは軌道制御チームの吉川真先生自ら海外向け発表でおっしゃっていた模様。
ちなみに次回ロケットまつりは11/02(木)。また平日かあ!(涙)

※2:國中先生が「はやぶさ君」と言っていたのだから「彼」だろう。



いつも思うのだけれど、どうしてああいう「最先端の現場」の方々っていうのは(失礼な表現だけれど)ある種の可愛げがあるんだろう。

はやぶさスペシャルの席で印象深かった言葉はいっぱいあるけど
・ゲートポジション(イトカワから20km地点)で受けていた太陽輻射圧は
 9 N/km2 程度。
 同地点(……地点?)におけるイトカワの重力の10倍。
 「はやぶさ」は太陽を背にしていたので太陽輻射でイトカワ方向に押され、
 スラスタで機体位置を戻していた。

 (※テニスラケットでボールをリフティングする図を想像せよ)
 イオンエンジンは太陽輻射圧の 100 倍だけど太陽輻射圧も軌道に影響。
・地上にいるとピンとこないが(宇宙に送られた機体の)金属はガス(=気体)に
 「まみれている」、ちょうど水から引き上げると水にまみれているように。

という話がなぜか耳に残っています。私、太陽風と太陽輻射の違いもわからないヘタレだけどね!(涙)
余談ですが、お酒の勢いを借りて僭越ながら先生方に質問させて頂きました。
サンプルカプセルを投下(といっても地球と月の中間点辺りから放り投げるのだ)した後「はやぶさ」はどうなるの?イオンエンジンの限界に挑戦すべく(ここでウケて下さった皆さんありがとう)地球離脱軌道をとるの?それとも地球大気圏に再突入するの?と。
本来ならば「はやぶさ」は地球大気圏再突入を避ける必要がある。
サンプルカプセルはそれ1つを検疫すればいいが、「はやぶさ」は大気圏に再突入した場合に「100%の確率で燃え尽きる」と言い切れない限りバラバラになった機体を全て回収して検疫しなくてはならないから。
(ここで「イトカワ菌が付いてたら大変ですもんね」というツッコミあり)
しかし化学スラスタが使えない以上、「はやぶさ」本体の大気圏再突入も含めてオーストラリア当局の承諾をもらっている。
あの大きさならまず燃え尽きるだろう。
なお、地球大気圏再突入を避けられたとしても投下したサンプルカプセルのあった場所には穴が空いた状態になる。その場合は熱制御等がどうなるかわからないので長期運用は難しい。

2010年06月、光の尾を自らの帰還の証と「はやぶさ」は地球に還るのだろうか。
その時、「断じて宇宙戦艦ヤマトではありません!」と断言された(もちろんウケ狙い発言)「ミッションの節目節目に貼る撃墜マークステッカー」は(ISAS当局に叱られながら)ガラス窓を覆い尽くしているのだろうか。
♪必〜ずここへ〜 帰〜ってくると〜♪
← ジャガイモではありません。地上観測の時点で作られたイトカワのモデルです。これを見てようやく「実際のイトカワの写真」が与えたインパクトの大きさが分かりました。
なお、モデルの後ろ左手にいらっしゃるのが吉川先生、右手が國中先生。肖像権の問題からお顔はカットさせていただきました。


どこに送るにしても「国益」の観点から文を練るのが一番効果的なんだろうとは思います。でも私はそれが苦手なので「ド素人だって興味持ったんだ!」と愚直に自分の心情を述べることにしてます。
なので私の文面(上記の財務省に送ったのも、下の首相官邸に送ったのも)は参考になりません、と断言しておきます。

以下は財務省に送ったもの。
主計局文部科学省担当御中

ご多忙の所恐れ入ります。
先日、ISAS(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部)が企画する小惑星探査機「はやぶさ2」が予算面で困難な状況にあると耳に致しました。つきましては2007年度予算において「はやぶさ2」計画にご配慮賜りたい旨、僭越ながら申し上げます。

私は宇宙探査の分野に興味を持っておりましたが近年はその興味を失いつつありました。
しかし2005年11月に「はやぶさ」が小惑星にタッチダウンし、現在も地球への帰還に向けて努力をしているという知らせは私に再び宇宙への興味を持たせてくれました。

「はやぶさ」はサンプル未回収の段階においても科学論文誌『Science』で特集が組まれるほどの成果をあげています。もしサンプル回収に成功したならば理学と工学に対してどれだけの貢献となるでしょうか。宇宙物理学の仮説を強力に支持するデータを手にしたのが日本の宇宙探査ミッションであり、それが自分の生きている時になされたことを幸運に思います。
しかし現時点では複数種類ある小惑星のうち1種類のみの探査に留まっています。「はやぶさ2」は「はやぶさ」とは異なる種類の小惑星を探査目標としており、この探査が行われれば再び日本の宇宙探査が新しい見地がもたらすのではと愚考致します。

そして、それらの要素を排したとしても「遥か遠くの星へ行き、そのかけらを持って帰る」というミッションは私達に宇宙への夢と興味を持たせるに十分なものかと思っております。
私自身は理学・工学に決して明るくはありません。ですが、あるいはそれゆえに、このようなミッションによって天文学・宇宙工学、ひいては学問的分野への一般的な興味が強まることを願っております。

予算が決して無尽ではないことは承知しておりますが、他の学問分野への悪影響を可能な限り回避して頂ければ国文学研究の末席を汚していた身として幸いに存じます。
ふ、所詮私に書ける文章なんてこんなもんさ。いいの、必要なのは頭数なんだから。
焦点がボケるのを承知していながらも「国文学の予算は削らないで」と書いてしまう辺り、未練だな……その前に学部卒では「末席を汚し」てさえいないのか??

[2006.12.04追記]
以下は首相官邸に送ったもの。
ご多忙の所恐れ入ります。
先日、ISAS(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部)が企画する小惑星探査機「はやぶさ2」が予算面で困難な状況にあると耳に致しました。
一国民として「はやぶさ2」計画にご配慮賜りたい旨、僭越ながら申し上げます。
ISAS が運用している「はやぶさ」ミッションは工学試験が本来の目的でありながらも小惑星サンプル回収を目指しています。
そして計画が完了していない現段階においても「はやぶさ」は科学論文誌『Science』で特集が組まれるほどの成果をあげています。
特集イントロダクションでは「はやぶさ」が小惑星探査機「Hayabusa 」としてだけではなく獲物にとびかかる「隼」として描かれておりました。
科学論文誌の権威ともいえる同誌が日本語を踏まえた描写をしてくれたことを日本人として大変な名誉と思っています。

しかし、「はやぶさ」が目指す小惑星のサンプル回収については成功するかが危うい状況であり、NASAがその隙をつくかのように小惑星サンプル回収計画を立て始めています。
今や、日本がアメリカに追われる側となっているのです。
そしてもし「はやぶさ」によるサンプル回収がかなわず後継機である「はやぶさ2」が打ち上げられなければ「世界初の小惑星サンプル回収」の名誉は米国のものとなってしまいます。
私はあまり「国家」という枠組みで物事を考えない者ではありますが、本件についてだけは「米国に横取りされたくない」のです。
宇宙探査という工学的にも理学的に能力を求められる舞台において「小惑星サンプル回収」という構想を最初に持ち、それが技術的に十分可能だと実証したのは日本です。
そして「はやぶさ」をきっかけに宇宙探査に興味を持った国民は少なからず存在します。
「理系離れ」とは昨今耳にする語ではありますが、世界に誇るだけの能力と大胆で魅力的な計画の存在は「理系離れ」を食い止めます。
まして、それが自分の国の組織によるものであり「世界初」の名誉を得たとなればなおさらのこと。

経済力や保有武力も確かに世界の中での国家の地位を高めますが、それだけではあまりにも粗野で無粋です。
学術研究や文化水準によって日本が世界から一目置かれることを切に願います。
──たとえ、学術研究能力・技術力が潜在的な軍事能力と見なされるのが世界の常識であるとしても。

以下、JAXA に送ったもの。(2006.12.11)
ご多忙の所お時間をいただくことをお許し下さい。

私は(地名割愛)にてシステムエンジニアをしている者です。
先日、「はやぶさ2」の2010年打ち上げが危ぶまれていることを知り、不躾ながら2010年打ち上げを願う旨、メールを送らせて頂きます。

「はやぶさ」は近年の日本の宇宙事業においては稀といっても良い程の認知度を得、それをきっかけに国民の宇宙開発への興味が高まったことについては私が申し上げるまでもなく皆様ご存知のことと存じます。

しかしながら、「はやぶさ」が本来工学試験機であることはあまり知られておらず、一般的には「小惑星探査機」として知られているのが実情です。

「はやぶさ2」については既に新聞各社がその計画の存在を報道しておりますが、このタイミングで「はやぶさ2」が延期、あるいは NASA の OSIRIS ミッションが独走する形になりますと「はやぶさ」の知名度が仇となるのでは懸念しております。
すなわち、ここで 「はやぶさ2」を上げなければ(「はやぶさ」が「小惑星探査機」として有名であるが故に)「結局、日本の宇宙探査は NASA には勝てない」という誤解を招きかねないのです。
そしてそれは20年後の宇宙開発従事者を得るという観点から得策とは思えません。

技術開発や研究が世論に媚びるのは決して正しい事ではないと承知しております。
また、日本の宇宙開発が常に厳しい予算・人員状況の中で行なわれているであろうことも承知しております。
それでも、宇宙探査への世間の理解を得つつある今「NASA と正面から勝負する」姿を見せることは日本の宇宙探査の将来のために働かせても良い「打算」ではないかと思うのです。

工学試験機としての「はやぶさ」を知っている者は既にそのミッションが大成果を上げていることを知っています。
「今度は『試験』でなく、その成果を生かした『本番』だ」と語られる日が近いことを願ってやみません。
ええ、卑怯な考えです。でもここでポシャったら世間一般的には「サンプル回収できなかったから失敗。後から出てきた NASA の勝ち、やっぱ日本の宇宙開発はダメだね」と見られますよ、絶対に。
宇宙&天文 | permalink | comments(4) | trackbacks(1) | by すばる
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コメント
はじめまして。
ミネルバ搭載するの?、の質問をしたものです。
カプセル投下後については気になっていたのですが、会場の雰囲気に飲まれて忘れてたので、「ナイス質問!」と心の中で喝采を送ってました。(^^;

財務省にメール出しましたが、はやぶさ2実現するといいですね!
2010年ははやぶさ帰還&はやぶさ2出発の年でありますように。
| みーや★ | 2006/10/31 7:23 PM |
遂にNASAも小惑星サンプルリターンに動き出しそうな気配がしますから
http://space.geocities.jp/mizu0208jp/spacepage.htm
はやぶさ2&はやぶさMk2はぜひ実現してほしいですね。
だってNASAに小惑星サンプルリターンの主導権を握られてしまったらロケットまつりのような「先生しつもーん!」ができませんから(笑)。
今度こそミネルバが(今度は2人ですね)が小惑星の上でぴょんこぴょんこと跳ねとんでほしいです。

……おお、「プロジェクタイルが発射されたかどうかは残弾を撃って数えてみれば分かるのでは?」の方でしたか!
私はあの回は行けず各方面のレポートを見たのみでしたが、残弾発射実験ができるように地球大気圏再突入を回避すべくイオンエンジン&軌道決定チームの腕をぜひ見たいですね。
そしてそして、OpenSky 公開テストのレポートも拝見しました。「あの形でないと飛ばない」とは……。
| すばる | 2006/11/02 1:00 AM |
M−Vはもうないのに何で打ち上げるんですか?w
というひどい質問をした者です。

ロシアも考えているという切羽詰ったお話が聞けてよかったです。
| J | 2006/11/03 1:44 AM |
あの時の「あー!!言ってはいけない事をー!」という会場の動揺っぷりはすごかったですね(苦笑)>M-V はもうないのに……
H-II A なら「はやぶさ」クラスの探査機が2機載るけど、2機同時に運用するだけの人手はないというお話もかなり切なかったです。

ロケット野郎でない方に解説:
旧ISAS系の固体燃料ロケットである M-V は JAXA の方針により退役しました。
M-V の打ち上げ費用が65億円だったのに対し、H-II A ロケット(旧NASDA系の液体燃料ロケット)は85億円。
固体燃料と液体燃料それぞれ向き不向きがあるとか ISAS のロケット技術継承がこれで潰えてしまう(はっきり言って ISAS の流れを汲む関係者は M-V 退役決定にかなりのショックを受けた)などの問題もありますが、この20億円の差は貧乏宇宙開発においてはものすごくデカい。
| すばる | 2006/11/03 6:04 PM |
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