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はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語
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某氏より「はやぶさ燃えみたいだけど読んだかい?」とメールをいただき、そうだ RSS 経由だとサイドバーが見えないんだと気づいた次第。

はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語『はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語―』(吉田 武/幻冬舎新書16)

現状においては「はやぶさ」と ISAS(宇宙研)についてもっとも適度にまとめられた一冊。が、「適度」とは私のようなド文系出身、「ISAS という組織ははやぶさで初めて知りました」な人間にとっての適度であり、「ちょっとウェブを漁ればもっと詳しい話が見つかる」という意味でもあります。

……でも気をつけて。「はやぶさ」を「冒険者」として認識している人は涙腺にクる可能性がある。

結論から言うと、この本をお勧めできるのは
  • 10代半ば
  • 「はやぶさ」ミッションを「ハラハラドキドキの大冒険物語」として愛する人
  • ISAS の来歴を知らない人
  • 『プロジェクトX』を見て感動できる人
です。
  • ISAS という組織の来歴を知っている人
  • ミッションについて十分理解している人
  • 学術的意義や世界的な宇宙探査の流れの中の立ち位置の面から客観的に知りたい人
には間違ってもお勧めできません。(なにせ本の半分以上は ISAS 史だ)

M-V-5 打ち上げシーンやイトカワへのタッチダウンシーンの描写は問答無用で血が熱くなる臨場感なのですが「演出と大嘘は紙一重」でして、その時その人は本当にそうしていたの?と思わずにいられない。
リアリティはあるけど多分それはリアル(現実)ではない、そんな本。

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―また、ISAS のミッション立ち上げ・運用方式(「宇宙研方式」)がまるで完全な効率性を持った理想的なものであるかのように描かれているのも問題。
『恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―』(松浦 晋也/朝日ソノラマ/新版はこちら)に淡々と(おそらくは敬意と愛情をもって)綴られていますが、宇宙研方式には
  • 小〜中規模ミッションでは高い効率性を発揮するが大規模ミッションでは人的負荷が高すぎる
  • 非常に属人的な方式であるため技術継承が「師匠から弟子へ」という形にならざるをえない(一度でもそれが途切れると技術が失われるリスクが高い)
というデメリットがあります。
(ちなみに『恐るべき旅路』は電車で読んじゃいけない。可能性ではなく本当に泣いてしまう)

「大学の研究組織という出自(=人的・金銭的な限界)からそうなった(ならざるをえなかった)」のが宇宙研方式であって、冷淡な言い方をすれば「労働基準法完全無視」な運用です。
それを「情熱で困難に打ち勝つ」と書けば、過労死さえも美談とする『プロジェクトX』ばりの「技術系スポ根モノ」一丁上がり。

確かに燃える本だよ。
「はやぶさ」は人の情熱を推進剤とした、世界で初めての探査機なのである。
(『はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語―』P 7 より引用)
の一文なんて「コンチクショウ、こちとらの燃え所を思いっきり刺激しやがって」とニヤリとする。
本文でも一般の「はやぶさ」応援者たちに敬意を払って下さっている。
P 22 最終段落なんて、おそらくは一般ファンたちが的川教授に(一方的に)寄せている親愛の情を理解してのものでしょう。
しかしそれは、言い換えれば「読者に媚びた本」であるということです。
既知の情報を「はやぶさ」ファンの「情熱のアルバム」として琴線に触れるように書いただけの本です。

私は楽しんで読んだし、10代半ばなら楽しんで読めると思うけどね。
客観的知識がほしい人ならこういう本を読まずとも一次資料や論文だけで燃えられるだろうし。

ああ、でも畜生、燃えちまうモンは燃えちまうんだよこの本。

願わくば、「はやぶさ Mk II」以降は「見ていてつまらない」探査機でありますように。
何のトラブルも起きず、すんなりと、当然のように目的を達成する。そういう「成果物以外は全然おもしろくない」探査機でありますように。
(「はやぶさ2」は基本設計がオリジナルと同じなので「楽しい」かも……)
宇宙&天文 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | by すばる
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