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筑波宇宙センター特別公開(1:H-II ロケット編)
JAXA の筑波宇宙センター特別公開に行ってきました。
現 JAXA のうち「NASDA」だった部分(実用/商用利用としての宇宙開発)の中枢ですな。
総じて(宇宙探査燃えの私にとっては)「燃えない」けど参考になるものでした。
帰宅してから SELENE 関連の展示を全部見逃したらしい事に気づきましたが(涙)。

筑波宇宙センターの目玉展示品、H-II ロケット再現品。(ちょっと大きい画像
燃焼実験モデルをベースに全国からパーツをかき集めて復元したもの。
……「ロケットエンジン」の地上燃焼試験なら知ってますけどね、「ロケット」の燃焼実験モデルってことは、つまり何だ、このどデカい図体を地上に固定して ずどばぼーん とエンジンふかすんですか?
「ええ、エンジン単品は秋田県の能代でもやりますが、ロケット全体での燃焼試験は種子島でやるんですよ」(職員氏)
本当か!?SRB (補助ブースター)全体の燃焼試験を種子島でやってる事は資料見つけたけど H-II 全体の燃焼試験!?……と思ったら、なるほど「模擬ロケット打ち上げ演習(GTV試験)」のことね。30分間必死でぐぐっちまったよ。
ロケットエンジンの燃焼試験には「(ほぼ)真空での燃焼試験」もあるそうで。えーと、それ、どんだけだだっぴろい空間なんですか?

ノーズフェアリングの赤いラインは実際に使われたものにも描かれたもので、役割は「ただのデザイン」(笑)。
SRB(写真でロケット本体の脇についている白いやつ)には JAXA のロゴが描かれています。実際に使われていた頃は NASDA のロゴが描かれていたので、この点は史料としてかなり問題だと思う。

なお、この展示モデルの資料/史料としての疑問点については Starship Engineer's Log「筑波宇宙センターのH-IIのナゾ」が非常に興味深いです。

明らかにパーツが足りていないお尻。左側が SRB、右が H-II 本体。二つともノズルスカートの部品がなかったんだね。

H-II 燃料タンクは別の場所に屋外展示。タンクの脇腹が切り取られて(中が見える状態にされて)ます。
斜めに走る白いのは切り取られた部分を支える支柱。燃料タンクの部品ではありません。左下の白くて丸い物体は「ハチ注意」を促すナゾのマスコット。

さてこの H-II ロケット、1999年に8号機が打上げ中に出力が低下して指令破壊に至るという事故がありました。今回の特別公開ではその8号機のエンジン(事故調査のために海中から引き上げたもの)が事故のタイムラインを説明する映像と共に展示されていました。こういう展示は好感が持てるね。

「指令破壊」と聞くと「ポチっとな」で盛大に空中爆発、というイメージですが実際の所は爆発なんてしないそうです。
ロケットの側面には指令破壊のために導爆線が走っていて「ポチっとな」で側面を破壊する。すると
・燃料は全部なくなる(おかしな加速や方向転換リスクがなくなる)
・自分自身の振動+自分の速度に伴う風圧であっさりとバラバラになる
 (ロケットは一度どこかが破けると非常に脆いものである)
という次第。

手順としては3つあるボタンが全部押されたら破壊コマンドが実行されるというものだったそうで(多分これは現行 H-II Aも同じ)、H-II 8号機の時は2つ目までは比較的初期に押下されていてテレメトリデータが取れなくなる段階(打上げ後約9分)までギリギリ様子を見た上で「こらもうアカン」と3つ目を押したのだそうです。
宇宙へのパスポート―ロケット打ち上げ取材日記1999‐2001エンジン異常が検知されたのが打上げ後約4分だったと映像にあったので、「比較的初期」というのは多分その段階なんだろうなあ。
SF 作家による H-II 8号機打上げ取材メモが『宇宙へのパスポート』(笹本祐一/朝日ソノラマ)に載っているんですが、「指令破壊ボタンは3つ」なんて書かれていなかったのでちょっとトクした気分。

というわけで「本当は(引き上げたエンジンに)いろいろとデータを送るための装置がくっついていたんですが、この展示ではそれらを外しています」とは展示説明の職員氏。なぜって、データ送信用機器をエンジン自体の機器と来場者に勘違いされたら困るじゃないか。
宇宙&天文 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | by すばる
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