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上映情報(随時更新)
全天周映像『
HAYABUSA - BACK TO THE EARTH -』を観に府中市郷土の森博物館に行ってきました。
この中にどれだけ「はやぶさスレ住人」がいたのでしょうか???(笑)
少なくともここに1人。2007年相模原一般公開での「祈り」上映に引き続き、またニアミスしてますねえ(笑)。
私がドームに入った時点での行列人数は50〜60人程度でしたが、私が着席した後も人が入ったこととドームが300席であることを考慮すると府中での初日上映の入りは100人くらいでしょうか。
感動しているという意識が全くない(それどころか「ここ、心情的には嘘じゃないけど誤解を招くよなあ……」と分析してる)のに勝手に涙がポロポロ出てくるというのは貴重で奇妙な体験。
※「嘘ではないけど誤解を招く」:通信途絶時のナレーションについて。
実際は比較的早期に通信回復時期が確度つきで発表されていた
私は本作をドキュメンタリでなく「ノンフィクションの物語」として受け取りました。それも本当に上質な。
ドキュメンタリと表現しない理由は下記2点。
・「運用側の話」が一切出てこない
・「エンジンが4基同時稼働しないのは故障ではない」ことが言及されていない
登場するのはあくまでも「はやぶさ」1機(ミネルバの登場はない)、そしてそれに寄り添うナレーションだけです。
詳細に「はやぶさ」のみを描きながらも「祈り」以上に感情が盛り込まれているため、「はやぶさ」『を』描いているというよりは「はやぶさ」『で』(宇宙は遠くにあるのではなく自分たちの中にある、ということを)描いていると表現できます。
【技術面】
「ドーム投影」という上映環境を最大限に活用しています。
球形の凹面への投影は「球形の凸面」に見せかけることができる。本作が始まった直後にそのことを衝撃とともに知りました。いや、あれはすごい。偏光メガネなしで 3D になるんだもん。
宇宙への興味を別としても、映画好きならその点だけで見る価値があります。
あと体調不良の人や車酔いしやすい人は気をつけて下さい。擬似的な浮遊感がリアルすぎて、うっかりすると酔います。
スィングバイの場面描写の視覚的わかりやすさと緊張感と迫力は特筆すべきものです。
「東京ー大阪間15秒 〜 そんな速度でも宇宙は途方もなく広い」のシーンもわかりやすい。
(「はやぶさ」が飛んでも飛んでも虚無の宙)
あと「タッチダウン直前チェック」シーンの凛々しさといったら!
【ストーリー面】
ナレーションは「はやぶさ」を「彼」「君」と表現し「はやぶさ」に語りかけ続けますが「はやぶさ」自体は全く擬人化されていません。
ナレーションは「はやぶさ」をよく知り応援し続ける者(ただし運用関係者ではない)の代理人ですね。
直接的には監督である上坂氏の代理と思われますが「はやぶさ」を応援する者全ての代理人です。
作中、「星が重力で引き合うように、(星のかけらでできている)僕たちは心で引き合うんだ」という主旨のナレーションがありますが、<ネタバレ>
「はやぶさ」もまた心(魂)を持つ存在だったことがラストシーンで暗喩されます。ファルコ・ペレグリヌス(紛らわしいので学名記載)は昼行性のはずなんだ。</ネタバレ>
「祈り」を見た者は最後の数分間に既視感を覚えながら泣くことになるはずです。意図的に同じ構図にされたのだとしたら人を泣かせるのもいい加減に……!!あの「30分間」の描写で、焼けこげた太陽電池パドルで、それどころか最初の衛星分離シーンの段階で、私はもう泣いてたんだから!!(涙)
不満点は2点だけ。
前述の通り私は本作をドキュメンタリと受け取っていませんので「重箱の隅」レベルです。
1)個人的に波形はパルス型のほうが望ましく思えた
(ただしパルス型でない理由は十分に理解可能。
「表現」としては本作中波形のほうがテーマとの整合性、統一感の点で美しい)
2)タッチダウンシーンのイトカワ表層に目立つのが砂利でなくレゴリスである点
千葉県内で上映してくれるとお財布的にありがたいな。
泣かなくなるまで見てからじゃないと気恥ずかしくて他者を連れて行けないじゃないか。
JAXA公式作品ではなく商業作品だから仕方のないことだけど、本作上映館で「
はやぶさ君の冒険日誌」を配布できたら良かったんだけどね。
……あ、でも「冒険日誌」は1点、『HAYABUSA』との決定的な違いがあるんだった……。
ところで府中市郷土の森博物館、ただいま紫陽花が見頃です。
「本日より」!