・「萌え擬人化」系コンテンツはできれば避けて通りたい(※婉曲表現)
・「はやぶさ」「かぐや」の追っかけやって(ます | ました)
な私ですが、この本については「擬人表現さえ大丈夫なら」という条件つきで胸をはっておすすめします。
ただし全ページフルカラーであるため少々の割高感はあります。宇宙好きの方には「買え」、宇宙にちょっと興味がある程度の方には「とりあえず立ち読みするなり図書館にリクエスト出すなりして一度目を通すべし」。
最大の難点は、タイトルにある「萌」の1文字が恥ずかしくて父や姉に貸せないこと(苦笑)。
衛星のみならずミッション目的の解説、運用サイドや応援者らの裏話などもきちんとフォローしている辺りはさすが。
純粋な情報量のみを見れば「宇宙開発マニアしか買わないような濃さ」でありながら、擬人表現のおかげで「ちょっと興味がある」くらいの方でも読みやすくなってます。
宇宙科学系(ISAS系)衛星は一通り把握していたものの実用系(NASDA系)宇宙機はほとんど把握していない身にとって、本書──というか、しきしま氏の「Orbital pretty」シリーズ──は実にありがたい存在です。HTV(宇宙ステーション補給機)が「おりひめ・ひこぼし」の子供だという表現はストーリーとしても比喩としても秀逸。
「萌え擬人化」にまま見られる「即物的で記号的なセックスアピール」(※婉曲表現)はこの本にありません。
かつて電波天文衛星「はるか」のプロマネである平林久教授は「はるか」の運用終了に際し
「はるか」のことは何かにつけて思い出すでしょう。どうも擬人化してしまいます。
と述べておいでですが、本書の擬人化はその感覚に近いという印象です。
「萌えて泣ける」とありますが、「すいせい・さきがけ」の章におけるハレー艦隊の激闘は「燃」えずにおらりょうか。
なんという光景だろう
そこには西も東もない
地球ではお互いに核弾頭を
突きつけあっているというのに
(P30より部分引用)