「宇宙空間で音はしない」とか「機械は喋らない」とか「宇宙研は普通の建物である」とか「実際はこんな音しない」とかそういう基本的すぎる事項を除けばほとんど解説不要です。
(『宇宙戦艦ヤマト』と『トップをねらえ!』の両方を知らないとわからんネタがあるという点はともかくとして)
よくぞここまで!これがファンメイドだっていうんだからなあ……。
一応3点解説すると、
1)第1話。イオンエンジンの加速は一気に効くものではなくじわじわ効いていきます。
2)第2話の「おおすみ」について。
動画では「33年間の役目を終え」となっていますが、電波送信自体は周回軌道に入ってから15時間程度で終わっています。
動画の文脈上「役目=地球を回り続けること」と解釈したほうが妥当と思われるので本点の解説は蛇足でしょうが……まあ念のためということで……。
3)第2話の「サンプル採取用の弾丸を撃った」描写について。
実際は撃ったかどうか不明。
ここらへんちょっとややこしいのですが、「弾丸発射シーケンス終了を示す信号が送られた(WTC)」のは事実。
しかしどうも「安全モード」のままで弾丸発射シーケンスが走ってしまった(=実際には弾が撃たれていない)のではないか、と言われている。
一方でサンプル採取装置の温度が上昇したというデータも取れていて、これは「弾丸が発射された」ことを示唆してる。
つまりデータが相互矛盾を起こしている。
「はやぶさ」はシステムダウンの際に記録が揮発してしまったので、この件については「カプセルを開けてみないとわからない」状態です。
ついでに補足3点。
宇宙研管制室の場面に登場する恰幅の良い男性は的川泰宣教授(当時。現在は技術参与)。
軌道工学、システム工学の専門家でありながら「広報・啓蒙は重要だから」と宇宙研対外協力室長として広報、マスコミ対応を担われた方。「はやぶさ」ミッションプロジェクトマネージャである川口教授(本動画での「川口コーチ」)の師匠筋にあたります。宇宙研ファンからは「マトちゃん」と呼ばれているとかいないとか……。
また宇宙研管制室の場面にお札、リポビタンD、酒瓶が登場しています。
リポDについてはもう説明を省くとして(笑)、お札はたしか成田山のもの。2つ飾られているのも正確です(重箱の隅を言うならサイズのみ不正確ですが)。
→
「はやぶさリンク」:20日の画像: 松浦晋也のL/D(下画像)
※実は私、2つ飾られていたことに今まで気づいてませんでした(笑)
タッチダウン当時はこれに加え太宰府天満宮のお守りもモニタに下がっていました。それらに加え、2010年03月時点で飛行神社、飛不動、中和神社などのお札/お守りが確認されています。
酒瓶は井手酒造の「虎之児」。詳しくは
これ参照。「ニコニコ動画」のアカウントをお持ちの方は
【宇宙研の】はやぶさの性能計算書表紙【虎の児】もあわせてご覧下さい。
とにかくこの動画の宇宙研管制室はやたらに芸が細かく(後ろの壁に過去の科学衛星の画像が飾られていたり)高解像度で見たくてたまりません。
最後に、これは本動画についてではありませんがエンジン稼働数について。
「はやぶさ」は「最大同時稼働エンジン数:3基」という仕様です。
打上げ後早期にスラスタAが(動作不安定性により)待機状態になったため誤解されることがありますが、仮にスラスタAが問題なく動く状態であっても「4基同時稼働」は仕様上起こりえません。
また、太陽から遠くなると太陽電池発電量が低下するため最大稼働数が減ります。
お、
次期固体燃料ロケットの名前は「E(イプシロン)」で決定か。
打上げ地は内之浦が有力候補とのことですが、さすがにもう「ランチャーによる斜め打ち」を前提にしてないだろうなあ……(ごめん、私、ロケット側の情報は疎いです)。
ディスカバリーの垂直尾翼で何らかの剥離、と時事通信。
今日夕方に行われるISSとのドッキングが終わったら重点的にチェック入れるでしょうが、ぶっちゃけシャトルにおいて剥離は程度問題でしかないことも知っていますが(小さいものなら毎度起きている)、どうしても胃がすっと冷たくなる心地がします。
国立天文台PR:宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見
元素どころか「アミノ酸」が宇宙由来かもしれないと。
ごめんなさい、「円偏光」についてはもう理解を放棄してもいいでしょうか……(涙)。
# 学術の話題を一般向けに「翻訳」するのって本当に大変だろうな、とプレスリリースを見る度に思います