日本惑星科学会の学会誌「遊・星・人」の
第 19 巻 1 号が出ていました。
今号は「始原天体研究のこれまでとこれから:探査を仲介とした異分野交流」と題した特集を組んでおり
- はやぶさ後継機に向けた小惑星 (162173) 1999 JU3の観測
- 小惑星イトカワ表面に存在する岩塊の表面組織の解読 〜小惑星のフィールド岩石学の試み〜
- イトカワの岩塊表面に分布する高輝度スポット:年代決定に利用できるか?
- 始原天体有機物研究の今とこれから I. アミノ酸
- C型小惑星の探査における可視・近赤外分光の役割
が内訳となっています。また「はやぶさ 2: 経緯と計画概要」では「はやぶさ」後継機の話題が、連載企画「一番星へ行こう!」の今回はフライトモデル(実際に打上げられる実機)の総合試験の話題が取り上げられています。
毎年5月に幕張メッセで開催されている>日本地球惑星科学連合大会。
今年は05/23(日)〜05/28(金)です。セッション一覧は
こちら。
基本的には有料イベントですが、パブリックセッション(セッション記号 O)は無料で参加できます。
「はやぶさ」関連は主に
セッションP-PS005にまとまっています。
P-PS004に「ラブルパイル天体の衝突破壊実験」があることに注意。『アルマゲドン』が本当に起きたらどうするべきか?という話に繋がるのかな。
今年はPLANET-C「あかつき」が
ユニオンセッションに含まれていますね。
日本地球惑星科学連合大会の頃には既に「あかつき」が旅立っている(はずな)ので、タイトルは「金星に旅だった探査機"あかつき"を通して創られる惑星気象学」(「旅立った」という過去形)になっています。
以前宇宙科学振興会から発売されていた「はやぶさ」レジンキット、
1/35モデルのみ04/05から再販されています。
ただし以前は¥4,000でしたが「※製造元の都合により、価格が変更となっております」とのことで、今回の価格は¥6,000。
宇宙科学振興会のグッズ売り上げは間接的な形で宇宙科学に関わる方々の支援に使われています。
また、かねてから話題になっていた
青島文化教材社「はやぶさ」プラモデルもついに予約受付が開始になりました。
発売時期については「
特に問題が発生しなければ、6月のかなり早い時期に発売できると思います」とのこと。
同社は『
現代萌衛星図鑑』バージョンの「はやぶさたん」フィギュアも予定しています。
「はやぶさ」プラモ予約開始を受けての Twitter 宇宙クラスタの反応はこんな感じ:
あ、青島文化教材社さんも
売り上げの一部寄付を考えてらっしゃる。そして「初心者向けプラモ講座」開設予定とな。
ハヤカワ先生の04/06付エントリより:
本日、無事にTCM0という誘導制御が終了しました。スーパーバイザの3交代制24時間運用もしばし休止;また、すぐ復活するけど。
これをもって、最接近距離は「地球中心から20,000kmちょっと」になりました。以後、順次TCM-1〜TCM-4を行い大気圏再突入となります。
はやぶさは,4-5月には,双子座のポルックスの東側に見えているはずです.
はやぶさはほぼその方向からまっすぐ地球に向かって接近してきます.
さて、04/15 12:10 JST(頃)。
特設サイト「
はやぶさ、地球へ! 帰還カウントダウン」が公開されました。
今までサイト内で分散していた関連ページへのリンクがほぼ全て集まっていますね。リンクについて「
トップページについてのみ自由に行うことができます」というのはちょっと時代錯誤な印象を受けますが……。
2005年11月のタッチダウンの時の「
Hayabusa Live」ブログは装いを変えて復活。5年前当時のエントリも残っています。
あの頃はテラキンさんお一人でブログを運用されていたようですが今回は3人体制。人的負荷の観点で健全だ!
テラキンさん曰く「
今度は私に代わり、頼もしい後輩2人がブログを担当します。先代共々ご期待下さいませ。」
そして「関係者からのメッセージ」が連載開始。
第1回はプロジェクトマネージャである川口淳一郎教授による『
「はやぶさ」、そうまでして君は。』
少なくとも私は、2006年になってから(私が「はやぶさ」を追っかけるようになってから)川口教授がこんな情緒的な文章を書かれた例を知りません。
「
発案はもう15年前ですから(『はやぶさ』は)子供みたいです」という発言をイベントでなさったのは実際にこの目で見ました。一般公開の時にチームメンバの一人から「
誰よりも「はやぶさ」帰還を望んでいるのが川口先生」という話も伺っていました。
でも「はやぶさ」に対する『父親』としての感情を(それもここまで強く)外部にお見せになったのは初めてかもしれません。(「はやぶさ」を二人称代名詞で呼ぶこと自体が初めて?)
「はやぶさ」にはぜひがんばってほしい、と思う反面、その先に待つ運命は避けられないものかと思う。空力的に大気でジャンプする案など、力を得ることもできるのだが、度重ねた検討によっても、熱の壁が先に来てしまい、救えないことはわかっている。
「はやぶさ」が切り離すカプセルは、「はやぶさ」自身の思いを載せて、次の後継機への「たまご」となると考えるべきなのだろう。
満身創痍。ハードウェアとしては、たしかにそうだ。しかし、自律機能や判断能力といったソフトウェア面は今までもちゃんと機能してきた。けなげにもがんばった。ところが、最近は、「はやぶさ」の頭脳や感覚にも老化が現れてきている。記憶であるRAM データレコーダにはビット反転が頻発し、頭脳であるDHU でも反転が発生、感覚器であるジャイロも反転が起きやすくなってきていて、動作も今や確実でない。そろそろ寿命が全うすることは、「はやぶさ」自身が感じているのかもしれない。これ以上、長い飛行を続けるのは苦しいだろうと思う。無理だろう。
物理的な稼働をする部分だけでなく、情報系機器ももう危うくなっている、という話は初めて知りました。
──ここで私が情緒的なことを言っても蛇足になりそうです。
川口教授の今回のメッセージ、「はやぶさ」に興味のある方はどうか全て目を通して下さい。
…… …… ……お父さんがこれだけの思いを込めているのを知ってか知らでか、Twitterでは
『「はやぶさ」帰還ブログ』アカウント(注)ができ、
イカロス君とほのぼのしているのだ。
→
宇宙機における「工学実証」師弟愛
このやりとりだけで「IKAROS(イカロス君)=かわいい」がウン百人の頭に刷り込まれたことと思います(笑)。
注:「はやぶさ君」ではなく『「はやぶさ」帰還ブログのスタッフ』という立場。
一方のIKAROSは「イカロス君」という立場なので注意(笑)
探査機カプセル 回収隊結団式 NHKニュース
どうぞ風邪などひかないよう、くれぐれもお気をつけて。