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20世紀フォックス主催「はやぶさ」帰還1周年記念イベント速記(未編集につき注意)
事情はあとで説明するにして、2011/06/13に東京国際フォーラムで開かれた「はやぶさ」帰還1周年記念イベント(主催:20世紀フォックス)のトークの速記をまず出します。
※プレス扱いだったので、トーク内容や出演者写真を出す許可は得ています。

速記をほとんど編集していないので文脈がつかみにくい部分や誤字がありますがご容赦下さい。


司会:
どうも皆さんお忙しい中ありがとうございます。司会のリリコです、よろしく。
ご存知のことと思いますが「はやぶさ」は数々のアクシデントを乗り越え地球に帰還しました。
イトカワのサンプルの入ったカプセルをウーメラに落とし燃え尽きた。私も涙した。
ちょうど1年たった。粘り強い心が起こした奇跡。多くの人と日本の心の強さを共有したい。
帰還から1年。JAXAの「はやぶさ」のゲストを招いてトークショートしたいと思います。

さてゲスト紹介です、的川やすのり先生です。とてもかわいらしい先生ですね。写真は最初の3分だけでお願いします。


(撮影:Phoenix氏)

的川:
こんにちは。昨日まで沖縄にいたもので間違ってかりゆしをきてしまいました。(会場笑)
今日で「はやぶさ」帰還から1年になります。
私は外堀を埋める仕事。ミッションそのもののど真ん中は私より若い方。
中、外含めると「大きなルール違反」があった。
最後に起きたピンチ。イオンエンジンをチームがダイオードを使って繋いだが、それはPMも知らなかった。
ルール違反が「はやぶさ」を救った。それを責めるは誰もいない。それが中でやった最大のルール違反。

(すばる注:「川口プロマネも知らなかった」という点については國中、堀内両氏が獨協大学での講演で否定しています。野暮ですが念のため。)


打上げ前に「外」でやったルール違反は漁業のこと。
打上げの時は漁協を回る。
5月はマグロ漁シーズンで1日で2億円という収入もあるのでロケット打上げで船が出せなくなるのを漁協は喜ばない。
情報収集衛星という軍事的な目的の衛星の打ち上げもあった。これはいつ打つかわからない。
漁師にとって都合悪いのが情報収集衛星とと「はやぶさ」だった。
文科省は情報収集衛星を選び、「はやぶさ」は蹴られるだろうと思った。
そこで断りなく5県を周り打ち上げ許可を得た。お酒とカラオケを使って。
帰ってきたら糖尿病。後でバレて文科省におこられた。予想はできてたので15分ほど話をきいていた。
「はやぶさ」に限らずそういう苦労はつきまとう。
「はやぶさ」での大きい苦労は
1)リアクションホイールが3つのうち2つ故障。
 PMが最初に「もうダメだ」と思ったのはこれだろう。
2)ヒドラジン漏洩。
 向きを変えられない。イオンエンジンでしのいだ
3)行方不明。運もあったがかろうじてすくわれた。
「のぞみ」の1ビット通信で乗り越えた
4)イオンエンジン停止。ルール違反で繋いであった

帰還は感動的なシーンだったが3.11に震災が起きてから「はやぶさ」の意味がかわった。
「はやぶさ」の功績として「無人探査機が他の星に着陸して帰ってくる。帰ってくるのが当たり前、という時代がくる」という感触を与えたがある。
3.11以後は「日本に自信を与えるシンボル」として機能し始めた気がする。
東北大震災はショック。いてもたってもいられず現地に行った。陸前高田、南三陸を見ると胸がつぶれる。
「海はもう見たくない」という子供、原発の件について「科学、技術は何のためにある?有害じゃないか」という子供を思い出した。
科学者としてショック。
仙台のホテルに戻ってベッドに座っていたらNHKホールでのオペラ歌手のコンサートをホテルで見た。
最後に「ふるさと」。会場も歌いながら泣いている。私も一緒に歌っていた。
「科学に対する幻滅」はあるが「音楽の感動」とはなぜこうも大きいのか。その対比に戸惑った。
「はやぶさ」の魅力はリエントリの芸術性。
3.11以降はなかなか復興の気配がない。「はやぶさ」の話をすると元気づけられたと言われる。

リエントリしてきてカプセルが分かれ、本体はバラバラになるシーンの影響が直接的には大きい。
目立ったのはお母さんの反応。
本体がバラバラになるのを自分に、生きのびるカプセルを子供に例える。
この気持ちは男性にはわからない、と。
自分の命、生活とつながっている。技術的な話よりも擬人化して自分たちと結びつけた感動。

チームの「困難を超えるプロセス」「ミッション目的を共有していた」ということも大きい。
日本が新しい国になっていくために「はやぶさ」が役に立てば。

私は「おおすみ」に関わった。川口くんはハレー探査から関わった。
「おおすみ」の話をすると川口くんは悔しそうな顔をする。自分は関わっていないから。
「アポロ世代」のように「はやぶさ世代」が今生まれてる。
これから「はやぶさ世代」と呼ばれるであろう人が今後活躍するように願っている。

映画4本。そのうち実写が3本。正直なところ複雑な心境。それぞれストーリーは違うが。
1年経って「はやぶさ」への関心は下火になるかと思ったらまだカプセルに関心がある。
まだ関心のある時期に映画になれば加速する。もっと燃え上がる。
3.11後の課題と一緒に大きな力を与えてくれるだろうと期待する。

本作は先陣を切って10.01公開。皆でおおいに応援して欲しい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

司会:映画に期待するのは?

的川:最近映画見なくなった。映画の迫力は大画面で訴えてくるもの。
  「はやぶさ」を知らない人が新しく知ってくれる。
  去年6月以上の感動が走るだろう。FOXは世界配信の可能性がある。期待する。

司会:リアルに描きたいという話を聞いている。監修でご苦労されたとか

的川:みな「いい」と言っている。セットの管制室で錯覚する。
  俳優は細かい動作まで研究されている。
  顔つきは似ていないのに雰囲気が似てくる。さすがにすごい。

司会:帰還1周年のお祝いにゲストをおよびしました。
(「はやぶさ」帰還1周年記念ケーキ登場、竹内結子氏、高嶋政宏氏登場)


(撮影:Phoenix氏)

司会:「はやぶさ」帰還のニュース見た?

竹内:ニュースをきいて「すごいことがおきたな」と、それが始まり
高嶋:その日は京都で撮影していた。撮影から戻った後にTVで見て感動した

司会:今日1周年。なのにもう映画ができる。
  しかもクランクアップは0426。おつかれさまでした。

竹内:私は撮影終わったので「はやぶさ」は旅立った存在。
  映画公開時に「私たちのはやぶさ」が帰還する。
高嶋:とったのが堤監督なのでとったその日に編集する(笑)
的川:1年前は出身地の広島で講演していた。半年前に決まっていた日付が帰還日になった。
  リエントリの時は新幹線の中。
  タイムスケジュールは持っていたので「いまここにいるな」と思いながら移動。
  感慨深い。

<ネタバレ>

司会:映画の中にもこのケーキが?
竹内:水沢恵が「はやぶさ」の最後のお誕生日をお祝いしよう、というシーンで。恵が作ったという設定。
 私自身は複数の人の役割を担っているのでどこまで近づけるだろうか。
 見送り、見守ったものが帰ってくる、だが触れられないという寂しさ。
 皆で育てた探査機。人、家族のように思える存在のために作った」
的川:複数のキャラを統合するのは難しいだろうね。
  ケーキは彼女につながる女性たちが作ったが部屋に入らず廊下で食べたんです(笑)


</ネタバレ>
司会:皆でかわいがったというかんじ
高嶋:兄弟、家族、親友……そういうかんじ。

竹内:私の役(水沢恵)は博士号を得るための論文浪人のような状態でくすぶっている。
  ある日西田敏行さん演じる先生にスカウトを受けてお手伝いするという役回り。
司会:今まで見たことのない竹内さんが見られると聞いています。ファッション含め。

竹内:得意分野に関しては相手が子供でも容赦ないキャラ。台詞覚えるのが大変だった。
高嶋:僕はカメラチームのリーダー。モデルの方いらっしゃるが全くちがうキャラ。
 関係者が見たら「こんなことしたらマズいんじゃないの?」と言うかもしれません。
的川:(モデルは)そこにいますよ(会場にいる「はやぶさ」カメラPI齋藤潤氏を指す)
高嶋:あとは映画を楽しみに見てください。
竹内:専門用語は丸暗記。最初は台詞の用語を調べる。その用語説明が画面いっぱい。
  その中にさらにわからない言葉。宇宙は果てがない(笑)。
  どこまでやればいいんだろう
的川:あの鉄砲玉は我々でも言えない。よかったよ。
高嶋:僕は台詞覚えいいほうなのに震災以降覚えがわるくなりました。
  堤監督がフォローしてくれたおかげで助かりました。
  今は台詞おぼえ良くなりましたよ。
  (司会「専門用語が難しかったんじゃなくて?」)地震のせいです。

司会:的川さんを西田敏行さん。的川さんは現場に行かれたとか?
的川:「先生を演じるなら私しかいない」と西田さんに言われ、どう答えればいいのか……
  体型ですか?と答えようかと(苦笑)。
  彼は「僕は福島出身なので子供のことを思って演じる」と。
  ピースサインの角度にもこだわった。
  振り向くタイミングやサインの角度にもこだわっている。
竹内:私は本来の映像にはいない人間。実際のドキュメンタリに入っていく感じ。
高嶋:現場のスタッフと俳優の情熱がすごかった。
  一丸となって「完コピでいってやる」。
  大変とは思ってなかったんじゃないか。喜びの1つ、楽しみながらやった。
的川;本当に一丸となって「はやぶさ」ミッションをやっているような迫力。
高嶋:技術スタッフの再現具合がもう。管制室の壁の汚れに至るまで。黄ばみとか。
  セットでとってるってわからないんじゃないか?
  竹内さんとラスト間近のロケで栃木に。深夜1時に監督がいらして
  「今まで自分のどんな映画で受賞されてもピンとこなかった。
   今回は僕、評価されたい」
  と。なみなみならぬ情熱を感じた。

高嶋:『はやぶさ』ファンには大興奮の映画。
  宇宙に興味ない、あるいは「はやぶさ」を知らなかった方でも心底感動する。
  マニアックな映画ではあるがほんわかしたムードの作品。ぜひ劇場で。
竹内:監督が目指した「完コピ」=ドキュメンタリ の部分は
  「はやぶさ」を知っている人も今まで知らなかった「はやぶさ」を伝えられるだろう。
  いろんな要素が詰まっている。遠い宇宙を身近に感じられるだろう。


司会:06/14より東京国際フォーラム・アートショップにて「はやぶさi」がオープンします。
  10/10まで。
  PJメンバからのメッセージ、「ミネルバ」実物モデル、カプセルのレプリカなどが展示されている。
  公開前にこのへんもチェックしたらいろいろ感じられるのでは。

的川:さっき見せてもらった。
  その前にJAXAiがあった。仕分けにかかってしまいました。
  「はやぶさ」が帰ってきた後、ある小学生が「はやぶさの兄弟を打ち上げてよ」と言われた。
  ちょうどそのころ「2番じゃ……」と言われていた頃。(会場笑)
  「はやぶさ2」があがるかどうかわからなかった頃。
  「はやぶさ2」は満額ついた。JAXAiはダメダったが。
  「はやぶさi」を代わりに楽しんでほしい。

(カプセル@着地後のレプリカ登場)


(撮影:Phoenix氏)

竹内:(持って)重っ!これは……お米どれくらい分の重さなんでしょう?(会場笑)
的川:昨日まで沖縄に本物がありましたね
高嶋:(持って)これは……すごいですね。
  (真面目ぶった表情で)5.8kgぐらいありますかね。(会場笑)

フォトセッション:カプセルレプリカもっての撮影
高嶋:持ったままで?
司会:(竹内、高嶋に)お二人一緒に持っていただくことできますか?

(フォトセッション)


(「はやぶさ」ケーキを入れてのフォトセッション)



※きちんとカプセルが「焦げて」着地している芸コマさにご注目
宇宙&天文 | permalink | comments(0) | trackbacks(1) | by すばる
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