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武豊町「はやぶさ」実物大解説用模型製作チーム談話(1)
千葉県立現代産業科学館特別展では武豊はやぶさ実行委員会から実物大解説用模型をお借りして展示&解説に活用させて頂きました。
その際、個人的に問い合わせたい由があって模型製作指揮をとられたM氏(お名前出していいか確認とり忘れたのでイニシャルで失礼)に連絡。
問い合わせについてのお答えと一緒に「実物大解説用模型製作ドキュメンタリ」も頂いた次第。
「これ、私一人で楽しむのは勿体ないです。私のブログに上げてもいいですか?」
「構いませんよ」
というやりとりがありまして、下記に転載させて頂きます。

テキストのみで 41 kBありますので、複数に分けての掲載となる点、ご了承下さい。
-------------------以下、転載-------------------

【底面の各種装置について】
底面部のロケットインターフェースの構造や、底面に取り付いている各種ユニットの位置や形状、太陽電池パドルの構造や、取り付け部分などは想像しながらかなり適当に製作しております。(^^;
ロケットインターフェースなどは、JAXA相模原キャンパスの実物大模型でも省略してある関係もあり、当初は省略しようかと思いました。
しかし、展示姿勢をイトカワ表面に不時着した傾いた姿勢にした関係で、いろいろな装置が実装されている底面を忠実に再現することが重要となり、ぜひとも「ロケットインターフェース」の金属製リングも再現したいと思いました。
ロケットインターフェースの唯一の情報として、はやぶさの地球帰還のイラストを参考にしました。
作ってみて気づいたのですが、ロケットと接続する部分であるためか、模型を組み立てたりする際には、この部分で本体の重量を支えることとなり、強度が必要となる部分です。
そこで、模型でも紙ハニカム材を用いて、本体の重量にも耐えられるような構造にしてあります。
なお、インターフェースの金具を取り付けている六角ボルトも、本物を紙ハニカム材に穴を開けて木工ボンドでダミーで取り付けてあり、雰囲気を出しています。
こうした「ダミーのねじ」は、私たちの模型ではあらゆるところで使われています(^^;



【耐熱フィルムについて】
表面の金色に光る耐熱フィルムは、PE製のサバイバルシートを用いています。
本物はもう少し黄色っぽいのですが、これしかないのでこれを使っています。
私たちの模型は、JAXAのHPで公開されている打ち上げ前の「はやぶさ」の実物写真をすべて印刷して、その写真を見ながら、見たとおりの雰囲気になるように、フィルムのしわなどもそのまま再現する意気込みで製作しました。
ただ、どうしても根気が続かないこともあり、細かい所はかなりいいかげんではありますが、全体的に見た印象のリアリティは、この耐熱フィルムの「しわ」のより加減で決まってくると言っても過言ではないです。
私が一番気に入っているところは、底面のロケットインターフェースのリングの中の、ターゲットマーカーなどが取り付いている部分の雰囲気です。
その他では、ハイゲインアンテナの受診部のところのフィルムの「しわ」のより具合は、2度ダメだしをしていることもあり、本物にかなり近いと思います(^^;



【ターゲットマーカーについて】
ターゲットマーカーの表面を覆っている「再帰性反射シート?」は、実際に「はやぶさ」で使われた素材を提供したメーカーから素材を入手して担当の女性が1つづつアイロンプリントで貼り付けて手作りで製作しました。
そのおかげで、きわめて本物に近い雰囲気のものになりました。
機能的にも、実際にフラッシュで写真を撮影すると、明るく光輝く姿が撮影できるので、武豊では、観客の方が手にとって記念撮影をしていくこともありました。
JAXAでの展示では、ガラスケースの中なので、実際に「はやぶさ」の底面から取り外し(磁石で着脱可能になっています)手にとって見られるのでとても良いと思います。
(そのために、おそらくターゲットマーカーの分離機構用の火機の信号線と思われるケーブルも、ターゲットマーカーの取り付け土台に配線して再現してあります。)
ターゲットマーカーの本体は、模型では発泡スチロールの球です。
本物と同じく球殻状にして中にビーズを入れ、振るとじゃらじゃらするようなところまで再現できると良かったと思っていますが・・・そこまで気が回りませんでした。



【紙ハニカム構造について】
私たちの模型は、本物と同様に「ハニカム」構造を持つ素材を用いています。
本物は「アルミハニカム材」ですが、私たちは「紙ハニカム材」です。
これは「軽量化」が大切なポイントとなっていたからです。
当初から全国への貸し出しを想定しており、輸送費の削減と、貸し出し先での分解・組み立て・展示の負荷をできるだけ少なくして、より多くの施設で展示してほしいと思うと軽量化の必要がありました。
事前に私たちはJAXA相模原キャンパスにある実物大模型を見学しました。
本体がテストで使用した本物と同じアルミハニカム製であったこともありかなりの重量感で、展示の土台も大掛かりなものでした。
相模原の実物大模型も何度か貸し出しされているようですが、あれを貸し出しすることはかなりのコストが掛かると思いますし、受け入れ側もかなりの負担になるかと思いました。
そこで私たちは「軽量化」を目指して「紙ハニカム」素材の採用を決めました。
私も今回調べるまで、「紙ハニカム材」の存在を知りませんでしたが世の中にはこんな素材があるんですね!
しかもそれほど高くないんです。木材のコンパネと同じかそれより安いくらいです。
その一方で、あくまで「紙」ゆえに、強度の維持もポイントとなりました。
本体を構成する6枚のユニットを見ていただくと分かりますが、組み立ての際には木材で枠組みされていて、これが強度のポイントとなっています。
こうした構造は、定年前にメーカーで技術者をしていたボランティアメンバーが担当してくれました。
実際、このサイズの模型で、太陽電池パドルの支持パイプなどの金属部品を含めて全重量が70kgに収まりました。
このおかげで、特別な機材がなくても人力だけで組み立てが可能となりました。
また、分解構造を持たせることでコンパクトな梱包とすることが可能となりました。
これも全国に貸し出しするために重要なポイントになっています。
この模型の製作には地域の住民のべ320名が参加しましたが、貸し出し可能になったおかげで、武豊町の1万4千人だけでなく、全国のはやぶさを愛する方々に見ていただけることなり、本当に良かったと思っています。
これを、もし従来の発想で木材で製作していたら、重量は確実に100kgを超え、展示方法も簡単には行かず、貸し出し先でのハンドリングも困難になり、今とはかなり状況は変っていたと思います。
「軽量化」というテーマは、本物の「はやぶさ」の軽量化の工夫にも通じるところがあり、解説の際には、話題にすると良いところですね(^^)



【太陽電池パドルについて】
ただ、所詮「紙」なので耐久性は低く、時間が経つといろいろ不具合がでてきますね(^^;
例えば左右に大きく広がる6枚の太陽電池パドルの全体の平面性を維持するのには苦心していまして、太陽電池パドルを支持するパイプ構造は、パドルを組み立てして加重がかかった状態で「平面」になるように、あらかじめ逆方向に弓状に変形させたパイプで支持するようにしています。
ただ今回は、太陽電池パドルを支持する本体から伸びている腕の部分のたわみの成分をキャンセルする構造にしていないので、若干腕が下にたわんでしまいます。
組み立てマニュアルには、もし可能であれば「ワッシャ」を挟んで腕をわずかに上に傾けるように固定する方法で対応してくださいと記載しておりますが、ちょっと不親切だなと思っています。
やはり地球上では「重力」が存在するので、宇宙での運用を前提とした太陽電池パドルを地球上で展開した状態で展示するのは、難しいですね!
なので、太陽電池パドルの構造関係は、展示を優先しているので本物とはかなり異なると思います。

私たちの展示姿勢では、太陽電池パドルの表面と裏面をともに観察できることが特徴です。
そのため、太陽電池パドルの見た目のリアリティにもかなりこだわっています。
まず表面の太陽電池は、インクジェット用紙に微妙に異なる色彩で印刷したものを、わざわざ4枚ずつ裁断して、それを改めてパドルの表面に手作業で貼り付けしています。
これは、本物の「はやぶさ」の太陽電池もおそらく作業者の手貼りだと思うのですが、手貼りゆえの雰囲気がリアリティを高めるポイントだと考えて、仲間の反対(大変だから・・・)を押し切って、1400ピースの印刷された太陽電池を、みんなで手で貼り付けました。
また、太陽電池の配線も、できるだけ再現しています。
イラストや簡単な模型では「柄」のように表現されている太陽電池パドルの表面の白い線も、本当はそれぞれ太陽電池から電力を集めるための配線です。
そこで、太陽電池パドルの雰囲気を左右する部分には、実際に電線を使って配線してあります。
こうした構造になっているので、私たちの模型の太陽電池パドルは立体的な構造になっています。
「印刷物を貼っておしまい」という模型とは、リアリティに差がでていて、できあがった太陽電池パドルは、本物と見間違えるようで、今にも発電しそうな雰囲気を醸し出しています。
しかし、紙の素材を手貼りした関係で、どうしても、経時変化ではがれてくるのが欠点ですね(^^;
あと太陽電池パドルといえば、特徴的な太陽電池パドルのロックを解除するボルトも再現できていません。
本来は空いているそのための穴も、あいていません。
太陽電池の配線(表側)は、本当はもっとたくさんあるのですが、大変なので省略してあるところも多いです。
また、裏面の配線も、JAXAの模型の写真をもとに起こしているので本当に適当です(^^;

あと、裏面を水性塗料で黒に塗装したのですが、紙ハニカム材の関係で塗料が乾燥するとともに、大きく反ってしまいました。
素材に使った紙ハニカム材は、1.35メートル正方の太陽電池パドルで約2キロ強ですが、端を両手で持って手首の力で水平に保てるくらい、軽量で強度が強いのです。
しかし紙ゆえに、塗料による伸縮があって、バイメタルの原理で、反り返ってしまったわけです!
これは想定外だったのですが、作業は進んでいて後戻りできないタイミングでした。
暑い中汗を流して塗装してくれた仲間の苦労も無にできないので、展示時の保持構造を工夫して、反りが悪化しない方向で保持するようにしました。

【太陽電池パドルからの給電線について】
作業に関わっていただいたみなさんには、組み立て中のはやぶさの写真を参考にして「これそっくりに作りましょう!」とやっていました。
そのため、例えば、はやぶさ本体から出ているおそらく太陽電池パドルからの給電線を接続するであろうと思われる配線が、その赤いコネクタカバーまで含めて本物そっくりに再現されています(^^)
実際には、太陽電池パドルが取り付いた状態では、太陽電池パドルからのケーブルと接続されるため、私たちの模型のようにぶらぶらとしているのは正しくないと思うのですが・・・雰囲気が良いのでそのままにしてあります(^^;
正確性という意味では、これはあまり良くないとは思うのですが・・・。)

-------------------転載ここまで-------------------


続くよ!
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