<< 武豊町「はやぶさ」実物大解説用模型製作チーム談話(1) | main | 武豊町「はやぶさ」実物大解説用模型製作チーム談話(3〆) >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | - | by スポンサードリンク
武豊町「はやぶさ」実物大解説用模型製作チーム談話(2)
武豊はやぶさ実行委員会の実物大解説用模型製作ドキュメンタリその2。

製作指揮をとられたMさんに頂いたメールをご本人の許可を得て転載しています。
-------------------以下、転載-------------------

【LIDERについて】
LIDER(レーザー距離計)などは、取り付いた状態の写真がなかったため、LIDER単体の写真を見ながら寸法を割り出しした関係で、実際よりも随分小さいと思います。
前面のカバー板も、色彩が不明でしたので、アルミニウムの色彩にしました。
LIDERの受光のための光学系は、単純なカセグレン式なのか、前面にガラスの光学面があるタイプなのか情報がありませんでした。
川口さんとお会いした際に直接質問して、ガラスの無いカセグレン形式とお聞きしたので、そのように作りました。
内部の細かい構造は普通の望遠鏡と同様な構造に適当に作りました。


【サンセンサについて】
前面と底面、ハイゲインアンテナーの天頂部にあるサンセンサーは実際は黄銅の削りだしのフレームだと思うのですが、模型では銅の薄板を用いて箱状にしました。
そのため、時間が経つと黒ずんできてしまって、ちょっと雰囲気が違うかもしれません。


【低利得アンテナについて】
ハイゲインアンテナ天頂部の低利得アンテナは、JAXAの写真しか情報がなかったので、かなり想像のもとに作ってあります。
ちなみに2つの円筒形の部材は、100均で見つけたグリーンピースの缶詰です!


【姿勢制御スラスターについて】
この「ノズル」は、プラスティック製の「シャンパングラス」です!
この素材をアマゾンで見つけて手にした時から「私たちの模型は、リアル路線で行こう!」ということになりました。
それくらい、「ぴったり」の素材が安価に入手できたことは、嬉かったです。
しかしその土台の部分や噴射カバーは、もう少し本物に近い形で仕上げても良かったかと思います。
当初は、底面ユニットと上面ユニットに固定されていましたが、梱包の関係で取り外し可能にした関係で、カバーなども少し省略されたものになっています。


【ONC-W2(広角カメラ)について】
地球のラストショットを撮影した広角カメラも、100均虫眼鏡を用いて雰囲気重視で適当に作ってしまっています。
実際はあのような構造ではなく、レンズはもっと小さいと思うのですが(^^;
武豊町での展示の際に、この広角カメラをじっと見つめて、あの地球のラストショットのことを思ってか、涙を流されているお客様を見ました。
私はこれを見て「ああ、模型を作ってよかったな・・・」と心から思ったのですが、その一方で、「そういえばあの広角カメラ、実際と大分ちがうよな・・・」とも少し反省の思いもありました(^^;)


【サンプラーホーンについて】
サンプラーホーンは、結構こだわって作りました。
個人的に一番残念なのは、サンプラーホーンのダストカバーに取り付いている、サンプラーホーン収縮解除のヒンジが再現されていないことです。
相手のロック爪などは再現したのですが・・・。
ここは、印象に残る特徴ある部材ゆえにぜひ製作したかったのですが、時間切れでとうとう作れませんでした。

サンプラーホーンのダストカバーに取り付けられたとされている接地検出用の格子状のターゲットなどは、できれば取り付けて、レーザーセンサーの動作の解説に使えるようにしたいと思ったのですが、これも情報がないことと、時間がなくて間に合いませんでした。
またサンプラーホーンの先端部分に「どでん」と付いているアルミ製の削り出しの口金ですが、JAXAの写真が収納状態のサンプラーホーンであったため、実際どのようになっているのかが分からず、あのような形状にしました。

サンプラーホーンでのこだわりとしては、伸縮機構を構成している上下24本のらせん状のワイヤーでした。
相模原キャンパスの実物大模型でも、このワイヤーの色は茶色かかってましたし、JAXAの本物の「はやぶさ」の写真でも、このワイヤーの色調は、オレンジ色かかっています。
ベリリウム銅系のばね材かなと思いましたが、そのような素材を入手することは困難でしたので、安価なピアノ線材をベースにして、その上に、オレンジ色の耐熱テープを巻いて、そこに透明収縮チューブをかぶせて収縮させて手作りしました。
このワイヤーの両端は電気の配線で用いる圧着端子が圧着されていて実際に伸縮するような構造で作ってあります。
ただ、ワイヤーの寸法が微妙に不正確で、なかなかスムーズに伸縮するのは難しかったです。

私たちの模型では、本体を35度程度傾けて展示させる関係で、宇宙で使用することが前提のサンプラーホーンの構造のままでは、うまくまっすぐに展示することが難しいという課題があります。
そこでサンプラーホーンの中央の蛇腹の部分に芯を入れて、斜めになっても真っ直ぐになるようにしました。
この関係で伸縮はできなくなってしまい、伸縮構造はただの飾りになってしまいました。
ただ、「いかにも動作しそうな雰囲気」は、こうした構造で作られているところから来ているかと思います。


【底面の測定装置関係について】
取り付けスタンドの関係から、蛍光X線スペクトロメーターなど底面部の測定装置関係が実装されていません。
ファンビームセンサーの受光ユニットも2つが取り外されています。


【帰還カプセルについて】
帰還カプセルの形状は、球と円錐の組み合わせなのですが、耐熱フィルムを貼り付ける工程で、そのつなぎ目の部分でどうしても段差が出てしまいました。本物はもっと滑らかですね。
帰還カプセルの周囲に存在する分離機構については、当初は製作する予定はありませんでした。
しかし帰還カプセルを担当いただいた方が紙で手作りしてくれたので、構造上かなり本物とは異なる状態になっているかと思いますが、そのまま取り付けてあります。(^^;


【ハイゲインアンテナの表面素材について】
ハイゲインアンテナは、本物は、細かい丸穴のパンチングメッシュの金属製だと思うのですが、これはなかなか難しいので諦めました。
まずは金網で製作しようとがんばったのですが、3度作っても雰囲気がいまいち違っていて・・・結局、全部ご破算にして、素材から考え直しました。
まず布地屋さんに行って本物の雰囲気にいちばん近いメッシュ布を入手。
それを女性陣ががんばって型紙にそって裁断して、ミシンで縫い上げてくれました。
表面のしわを取るためと、アルミ材の表面のてかりを再現するために、水のりをはけで塗って、ドライヤーで乾燥してあります。
細かい所を見るとまだまだですが、こうした手作業の結果、金網方式よりもずっと本物に近い雰囲気になりました。
特に、照明を上手にあてると、はやぶさの特徴である白いパラボラアンテナが本当に美しく見えます。
これは大正解だったと思います。
ただ、布製なので、ひっかけると破れてしまいます。ここが欠点です。

すばる注:調べたら、HGAはパンチングメタルでなく3軸織複合材(炭素繊維等?)とのことです。

【ハイゲインアンテナのパラボラ構造について】
アンテナの構造部材は、できるだけ本物に近づけたかった。
そのため、パラボラ形状を維持する放射方向の骨組みは、実物大のジグを製作して、コの字形状のアルミ材をそこに合わせて「放物面」となるように手で修正しながらアンテナの骨組み形状を製作しました。
円周方向のパイプ部材は、断面が長方形のパイプ状の構造ですが、この形状は3次元的な形状となっていてとても複雑です。
ホームセンターでアルミの角パイプを入手して曲げてなんとかなる形状ではありません。
この部材の形状は、パラボラアンテナの鏡面精度にも直結しますし、四角パイプなのでプレス加工も難しく、本物の「はやぶさ」でもおそらく高い技術が必要な部品であったのではないかと想像しています。
私たちの模型でこれを金属部材で再現するのは、全体予算20万円のプロジェクトゆえ無理なので、ここで少し壁にぶちあたりました。
本物の「はやぶさ」では、この部材は「強度」が必要な構造部材ですが私たちはあくまで「模型」です。
構造を保つ強度は放射方向の骨組みで確保できると判断して、思い切って「見てくれ」だけを再現する方向に発想を切り替えました。
そこで模型では、加工がし易い軟質白色樹脂板から、角パイプの両側面、上面、底面にあたる部分を切り出して、それらを組み合わせることで、3次元形状のパイプになるように再現しました。
具体的には、それぞれ異なる曲率の4つの円錐の一部を切り出して組み合わせることで、1つの3次元形状になっています。
1本のパイプを作るのに、4枚の平面を切り出して組み立てる必要があり、かなり苦労しましたが、出来上がったパイプは、本当に複雑な3次元形状を再現していて、出来上がりは上々でした。
この部材を用いて完成したハイゲインアンテナを少し離れた位置から見ると、本当に3次元プレスで加工された角パイプのような雰囲気になっています。
自分では一番悩んだところなので、この完成度はとても満足しています。
このあたりは、相模原JAXAキャンパスの模型でもかなり省略してあり、「はやぶさ」の模型にチャレンジした方であれば、ここを見ると、私たち製作者の志と苦労が想像していただけるのではないかと思います。
ただ・・・この樹脂板の接続に、手間のかからないホットボンドを使って済ましてしまったので(^^;時間が経ってはがれてきているところも出てきており、最後の詰めが甘かったと反省しております。(^^;
いずれにしても、「はやぶさ」のハイゲインアンテナのパラボラ形状をリアルに再現することは、手作りの模型制作では最も苦労するところかと思います。
「はやぶさ2」では、平面アンテナになるので、このあたりはずっと製作は楽になるかと思いますね。

-------------------転載ここまで-------------------


続くよ!
宇宙&天文 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | by すばる
スポンサーサイト
- | permalink | - | - | by スポンサードリンク
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://notserious.jugem.cc/trackback/688
トラックバック