カテゴリは「映画」だなあ。
東映「はやぶさ 遥かなる帰還」見てきました。
はっきり言うと本作の宣伝には不愉快な印象を抱いていますが(率直に言うと「えげつねぇ、おとなげねぇ」。競合作品各社が「お互い頑張りましょう」というエールを送りあう姿勢をしてたのにガン無視ですからの)、本作自体は説得力のある良い映画です。
事実にそぐわない箇所(衛星運用上ありえないはずの描写とかこの当時はこの名前じゃない/これは存在しないとか)はあります。しかし映画として良い作品なので個人的にはそういう箇所を無視できました。
※私が「ツッコミ所を無視できる」というのは相当なことです
この作品を見る際、専門用語や「この場面で何をやっているのか」がわからなかったらスルーして物語に専念したほうが良いでしょう。それらを無視しても物語自体は十分に追えます。映画としてよくできていますから。
個人的に一番感銘を受けたのがロストの46日間の「報われない作業と精神的な疲労蓄積」の描写。
個人的にはリエントリのシーンよりもこのシーンに賞賛を送りたい。
あと、山崎努さんの演技がいい。爪が汚れてるという細かさもすごくいい。
ただし、間違っても本作を前提にした質問をリアル「はやぶさ」関係者にしないであげてほしいと思います(苦笑)。本作、「映画的リアリティ」は非常に高いのですが、リアル「はやぶさ」はぶっちゃけ「事実の通りに描けば描くほど嘘っぽい」ので(苦笑)。
※「リアル」かどうかで言えば本作よりFOX「はやぶさ/HAYABUSA」に軍配が上がります。特に宇宙研のノリの描写と宇宙科学に携わる者の難儀の面の描写で。映画作品としては本作に軍配かと。
でもこれだけは言いたい。
先生、駅は反対方向です!(笑)
繰り返しますが映画としては実に良い作品です。
自分がなまじ復路からリアルタイムに「はやぶさ」を追っかけてたゆえに作品に酔えないのが残念なくらいにね。
【競合作品と比べて】
- 「はやぶさ」それ自体に思い入れがある、または「はやぶさ」のミッション過程や成果に興味があるなら「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」
- 「はやぶさ」チームという人々に興味があるならFOX「はやぶさ/HAYABUSA」
- 「映画として骨太な人間ドラマを楽しみたい」なら本作
をお薦めします。
【関連記事】
「はやぶさ」映画情報整頓
東映『「はやぶさ 遥かなる帰還」オフィシャルJAXAツアー』の代理取材してきました
【宇宙研は見学できます】
本作の主な舞台になっている宇宙研は見学可能です。詳細は
ISAS | 相模原キャンパス見学案内 に譲ります。
ご興味のある方は毎年7月末に開催される特別公開にぜひ。実際の研究者さんたちがどんな方々なのかが(色んな意味で)よくわかります。本作のイメージ抱いて見に行くと愕然とすること請け合い(笑)。
※天文衛星各チーム、遠慮はいらないから思う存分やっちゃって下さい!
色んな意味で宇宙研本流はあなたがただ!
【オマケ:競合作品感想】
『HAYABUSA - BACK TO THE EARTH -』観てきました
「はやぶさ/HAYABUSA」観てきました
【本作の専門用語や場面の意味を知りたい方は】
『はやぶさ、そうまでして君は』(川口淳一郎)
『飛べ!「はやぶさ」 小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険』(松浦晋也)
などを読まれるのが最短ルートです。
※『飛べ!「はやぶさ」』はローティーン向け
以前私が作った「
はやぶさ本選択チャート」もお役に立てば良いのですが。(2011年夏以降に出た本は反映されていません)