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はやぶさ&はやぶさ2座談会レポ(2)
第一部から続く)


日時:2017/06/11 13:00〜15:30
於:相模原市立博物館(神奈川県)
第二部話者(敬称略):
・津田雄一
・渡邊誠一郎
・照井冬人
・澤田弘崇
・中澤暁

注:かなり話を単純化しているので口調やニュアンスは欠落しています。ご容赦ください。
[津田]
現在「はやぶさ2」は航行距離22億km。リュウグウまでの全航行距離が54億km。
今ちょうどリュウグウを撮影できるかもしれない位置にいる。
メンバーからとっておきの1枚をそれぞれ用意した。
この1枚は地球スイングバイの時のもの。管制室で祝っているもの。プレスリリースでも出た。
裏話は言うなと國中先生に言われたが(会場笑)スイングバイは5000万km先から操って誤差300m。
スインバイの準備として最後にやったのはドップラーを元にした速度確認。
手書きでイオンエンジンを止める時間を計算。グラフに手書きで線を引いて。これはその時の定規の写真です。
あくまで検算のためのものですよ。コンピュータでも計算しました。

──その定規で魚は食べてない?

僕ではないですw

[渡邊]
「はやぶさ2」運用スーパーバイザ体験時の写真。
自分は名古屋大でサイエンスをやっていて、衛星・探査機の運用にはあまり携わらない。
運用についても知っているべきということで管制を体験させてもらった。
イトカワ微粒子の顕微鏡写真(「Science」掲載のもの)。
リュウグウにはおそらく有機物があるだろう。生命起源がわかるかもしれない。
「はやぶさ」の時はミッションに関わっておらず「粒子で本当にそんなことがわかるのか」と懐疑的意見を出す立場だった。
この(微粒子の)写真を見ると隕石にはない様々な痕跡が存在する。
痕跡を見た後なら「そうか、そうなるな」と納得できるが(見る前は想像できなかった)。
推測でなく物証が得られたのだ。
「はやぶさ2」でも物証を持ち帰り謎を解き明かしたいと思う。

[照井]
自分はAOCS(姿勢軌道制御システム)担当。
AOCSは今は案外暇。着いてからどうしようと心配・検討している。
「はやぶさ2」はリュウグウの高高度では地上からの指示で、低高度では自律判断で動く。
自律判断がちゃんと動くよう姿勢や位置をお膳立てしてやる必要がある。
メンバ5人の写真(有志贈呈の大漁旗を背にヤマト式?調査兵団式?の敬礼)。ポーズはわかる人だけわかってくださいw
今はこの5人で頭と体を鍛えている。

[澤田]
サンプラホーン伸長済写真と分離カメラの写真を。
先ほど照井さんがAOCSは暇だと言っていたが、今のサンプラーホーンはAOCSより暇。タッチダウンで初めて使うものだから。
ホーン伸長を確認したこのカメラではタッチダウン時も撮影したい。リュウグウの地表が写っているかもしれない。
分離カメラは自分が開発に関わって苦労した。種子島で取り付けた機器。(ギリギリまで開発していたの意)
本番は小惑星。

[中澤]
自分はプロジェクトマネジメントなどをやっている。
「はやぶさ2」相模原出発の写真を。
「はやぶさ2」は09/20に完成。大変な思いをしてプロジェクトを立ち上げて突貫で製作した。
普通、3年で探査機は作れない。本当にできるのかという不安とあせりを抱え続けた。
相模原出発の時は感慨深く見送った。
不思議なのは、出発日はクローズ情報だったのに当日朝に準備してたらこの博物館の門のところにだんだん人が増えてくる。(会場笑)
そのうち「いってらっしゃい」という横断幕まで!どこで情報を得たのか教えてください!(会場笑)


【津田さん、「はやぶさ2」の目的と現状、今後について教えてください】

[津田]
「はやぶさ2」は小惑星リュウグウへ向かう探査機。
先ほど川口先生は「本番機」と言っていたが、C型小惑星の科学だけでなく「はやぶさ」で培った技術を生かすことも目的。
「はやぶさ」から引き継いでいるのはたくさんある。外見が似ていることからもわかる通りフィロソフィーを引き継いでいる。
しかし実際の中身はだいぶ違う。
「はやぶさ2」は「はやぶさ」製作時から20年経っているので、コンピュータ、イオンエンジン、信頼性、通信など全て向上。
タッチダウンもインパクタの使用やそれによるクレーターへのピンポイントタッチダウンなど新しい挑戦を行う。
楽しみながら挑戦している。
リュウグウには来年到着。往路では長期のイオンエンジン運転が3回ある。
(2017年の)4月末に2回目が終了。航行距離の観点では約半分だが作業としては2/3が終わったことになる。
今年冬に3回目が開始。半年吹き続けて来年の5、6月に終わる予定。


【渡邊さん、プロジェクトサイエンティストとはどんなお仕事?】
[渡邊]
「はやぶさ2」の目的は技術と謎の解明。サイエンスは後段に当たる。
議論する時はいろんな分野の科学者が関わる。映画「メッセージ」でも科学者の議論のシーンがあった。
プロジェクトサイエンティストとは色んな分野を繋ぎながらやりかたを考え、計画を作ったりする仕事。

──みんなで何人?

[渡邊]
海外参加もある。OSIRIS-REx チームの人などと情報・意見交換したりとか。それらも足すと200人くらい。

──「はやぶさ2」をやろうと思ったきっかけは?

[渡邊]
自分は宇宙探査にかかわったことがなかった。
「はやぶさ2」立ち上げ初期も「3年で製造は無理では?」と外から見て議論する側だった。
宇宙研からの打診を受けて参画。


【照井さん、AOCSはどんな役割?】
[照井]
リュウグウに着く前は太陽電池パドルを太陽に向けるとか、星を撮影する時にカメラを向けるとか。
今一番忙しい業務は訓練。
探査機が小惑星のどの位置にいるかは計測が難しい。距離はドップラーで正確にわかるが横方向の位置はカメラ画像から地上判断。10分に1回画像をチェックすることになる。
どんな小惑星か予想もつかないから予想した地形を元にした訓練をシミュレータで行っているが、小惑星に激突するなどの失敗もしている。最近はかなり腕が向上。まだ訓練する時間は十分ある。
リュウグウと地球の通信遅延は20分あるので、のんびり考えていたら操作が間に合わない。

──操縦している感覚になる?

[照井]
なる。通信遅延をカバーして(20分後を)予測するプログラムがある。シミュレーションで成功体験を繰り返さないとうまくいかない。


【澤田さん、ホーンやカメラなど沢山の担当をしてるがもともとの専門は?】
[澤田]
ロボット。

──工夫や大変だったことは?

[澤田]
たくさんあるけど、1つ言うとホーンは理学成果に直結する部分であること。工学の立場として理学とコミュニケーションとってる。渡邊さんに泣きつきもするけどw
はじめて理学と同じ会議にでて「喧嘩している!」と驚いた。川口先生とけんかしてたのが渡邊先生。私の感覚はそう。
理学の人は思ったことをストレートに言う。自分のやることをはっきりわかってる。工学はそれをどこまで叶えられるかが大変。

[渡邊]
喧嘩でなく議論をしてたんです!(笑)
「論理的でないならそれはおかしい」が理学。
工学は「できないもんはできない」と言わざるをえない時がある。
お互いを思いやって遠慮、忖度しあったらだめ。けんかに見えるような激論を交わす必要がある。

【中澤さん、プロジェクト初期からのメンバと聞いているが立ち上げ当時のエピソードは?】
[中澤]
第一部で川口先生が「初期が楽しい」と仰ってたが、上は楽しいだろうけど……。(会場笑)
2010年に立ち上げ。
(注:この年に開発研究フェーズに移行し予備設計とのこと。Mitsuaki Nanli さん、ありがとうございます!)
文科省に説明しに行って承認とらなきゃいけない。理学コミュニティとは議論。なぜそれをやらねばならないかを説明したり。
カネや時間の調達、成立性の説明をISASの先生たちにも示すため、資料レビューしては突き返された。
(写真を出して)この写真は「設計要求フロー、仕様の選出」という厚さ 2cm くらいの資料。ISAS内部で配ったらレビュー会を開く前にメール便で返送されて、見たら赤ペンびっしりの上に表紙には「D」(D判定)と。最初は落ち込んだが、考えてみればこの人は全ページ見てくれて的確な指摘を入れてくれたということ。指摘を受けて直した資料を見せたら……誰とは言いませんが……「ま、いいんじゃない」の一言(笑)。
2011/03/15にプロジェクト移行審査会の予定だったのですが 03/11 に東日本大震災が発生。それでも計画停電の中03/15に審査会を行いプロジェクトに昇格した。

──資金、契約管理などもなさっているとか。

[中澤]
人手がないもので(苦笑)。

【津田さん、「はやぶさ」が注目される中で「はやぶさ2」は比較されてしまうところがあるのでは。プロマネの話があったときプレッシャーなどは感じましたか?】
[津田]
プレッシャーがないわけがない。
設計を始めた時からずっとこのメンバーでやってきて、時間もないから全身全霊の濃密なやりとりが必要だった。
なんとか時間に間に合わせて打ち上げられて、軌道上で落ち着いた時にこの話が来た。来てしまった。
僕の心配は「自分ができるか」より「今のこのチーム体制を壊してしまうのでないか」ということだった。
國中先生に助けを求めると、彼には既に情報が行っていたのか「しょうがないんじゃない?」と。
「國中先生はイオンエンジンやめませんよね?」という話をしたら「そりゃ一兵卒でやるんだよ」との返事。
ISAS副所長をイオンエンジンのいち担当として私が指示を出す立場です。ありがたいことに「使えるもんはなんでも使う」と國中先生も仰っているので。


【澤田さん、旧友の立場から見て津田プロマネの働きぶりはどうですか?】
[澤田]
キューブサットの頃から20年。
人をまとめる人は頑固というか主張を曲げないなと思う。
國中先生は種子島で「こうしたい」と言っても聞いてくれなかった。
そういうとき津田さんは橋渡しをする役だったけど、プロマネになったらやはりそう(主張を曲げなく)なった。
そうなるのは理解できるけど、人って変わるんだなあ。
でも彼のことは信頼している。


【会場質問】
Q:ほとんどの技術は「はやぶさ」で経験している。経験していないインパクタが一番のキモと思う。その苦労話を。
Q:これは質問でなくお願い。プログラム作成時のミスを防いでほしい。。
[照井]
AOCSの立場からいうと、然るべき場所まで爆弾持って行って落とすとか爆発の破片から逃げるといった運用の確率計算、シミュレーションは何度もやっている。
インパクタが作る直径1、2m のクレータにピンポイントタッチダウン。どうやるかと簡単にいうとターゲットマーカをいっぱい使う。
ソフトウェアについて。ソフトウェアの多くがAOCSにからむ。巡航中、到着後、それぞれのソフトウェアがある。それらを1つ1つ検証。
時間がないので24時間、3交代でテストを行った。突貫工事のソフトなので不安はあるが、今の所は完璧に動いている。

Q:津田さん、プロマネをやるにあたり一番重要な資質は?(会場笑)
[津田]
頑固な所ですかね!(会場笑)
私もプロマネのプロだからプロマネになったわけでない。ある意味で究極のOJT。
大事なのは頑固さでなくバランスかなと思っている。
「はやぶさ」では川口先生、國中先生がどう指示を出しているかを見聞きしながらやった。
プロジェクトマネジメントの指導を受けたわけではなく、こちらが感じるところがあった。何を守るかとか。
だがそれをトレースしても彼らの模倣にしかならない。ここは攻めるところだと思っている。
自分の性格はイケイケなんだけどプロマネがそれやっちゃうとブレーキが……。
初期からいる人、ブレーキ役の意見を聞いて(中澤氏の顔をみる)、聞かない(顔をぷいっ)w

Q:宇宙のアウトリーチ、SNSの公式アカなどをもっともっとやってほしい
[津田]
ありがとうございます。
SNSでもいろいろやってるんですが、それを踏まえておっしゃてるんだと思います。
来年が本番だと思ってるのでまずは知ってもらうことですね。
科学は科学者のためにあるのでなく人類のためにある。
楽しんだり苦しんだりしながら情報を出したい。夏にリュウグウが見えるはずなので楽しみにしてほしい。
一緒にハラハラドキドキしてほしい。

[渡邊]
これは重要な点。
日本はアウトリーチに力を割けていない。ロゼッタ/フィラエは広報に力を入れていた。
「はやぶさ2」は欲張りなミッション。自分から危ないことをやるところを注目してほしい。我々はそれを99.9%安全にすべく努力している。
なるべく発信をリアルタイムにやりたいと思っている。


(第二部、以上)
宇宙系イベント報告/翻訳 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | by すばる
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